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名菓アカデミズモとかわいそうな牛 このページをアンテナに追加

アカデミズモは、アカデミズムの裏庭。そこには亀たちが棲んでゐます。



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2018-05-14

おかあさん

| はてなブックマーク -  おかあさん - 名菓アカデミズモとかわいそうな牛

先日、初めて、見知らぬ若者(居酒屋の客引き)から「おかあさん」と呼びかけられてしまった。


私は年齢的にはエエ年かもしれないが、子供を産んだことがないのでお母さんという呼称には馴染みがない。また、学生時代が長かったせいか、自分がおばちゃんであるという意識も薄い。それが、なんなら自分とそんなに年が変わらん(ように主観的には感じられる)男性に「おかあさん」と呼ばれてしまい、狼狽して思わず、「お、おかあさんちゃう!」と強めに否定してしまい、まだまだ修行が足りぬと思った。いやべつに修行する必要もないのだが。



それにしても、日本語での、見知らぬ相手に対する二人称の呼びかけは、なかなか選択が難しいと思う。

私は、自分が初めて見知らぬ他人に「おかあさん」と呼びかけた思い出も思い出した。



それは7、8年前のことであった。通りで信号待ちをしていると、横で信号を待っていた知らない婦人から「ええ色やねえ、よう目立つわ」と声をかけられた。60代くらいの婦人だったであろうか。

そのとき私は濃い青のワンピースを着ていた。「よう目立つわあ、若い人はきれいな色が着れてええねえ」。


だが、その人も、ショッキングピンクのやたら可愛いシャツを着ていたのだった。パキッとして目立つ色が好きな人なのだろう。私はお返しに、「あなたの服もきれいですよ」というようなことを言いたかったのだが、そう言おうとしてハッと、なんて呼びかければええんや? と困った。


「あなた」は日本語の標準的二人称ではあるが見知らぬ目上の人にいきなり使うのはやや不躾な印象になる。そもそも関西の口語ではめったに使われないと思う。「君」「あんた」「おたく」はもっと違う。「おばさん」「おばちゃん」はなんとなく失礼な気がする。「おばあさん」では更に失礼であろう、そこまでの年齢でもない。かといって「お姉さん」ではわざとらしいし、「奥さん」も変だ。「そちら」「そっち」では、親しみを込めて声をかけてきた相手に対し他人行儀な気がする……



と、逡巡した結果、私は、

「おかあさんもきれいですよ」

と言うた。



言うてから「うう…」と思った。これは私の初「おかあさん」だったのだ。

砕けたコミュニケーションが得意な人はこの「おかあさん」という呼称を、(実際の母親以外に)使うのが上手いように思う。たとえば、TVでは関西芸人が街の中年女性に「おかあさん」と呼びかけるのをよく目にするし、店で年輩の店員さんに「おかあさん」と呼びかける文化もある。しかし私にはその文化がなかったため、若干のぎこちなさが否めなかった。

また、昔、新聞の投書欄で「私は自分の子でもない人からお母さんと呼びかけられるのはイヤだ」という投書が載っていたのも見たことがある。私もこの頃、未婚であるのに「奥さん」と初めて呼びかけられ、なんだかちょっとイヤな気がしたことがあった。その立場でもない立場名で呼びかけられるのはなんだか決めつけられているようで……でも妥当な呼びかけがほかにないし!……


……などなど一人で勝手にぐるぐるしていると、婦人は少しだけ驚いたような表情で一瞬沈黙したのち、


いやあー、おかあさんはもうトシやさかいあかんわー


と、一人称が「おかあさん」になった。

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