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名菓アカデ◎ミズモのかわいそうな牛 このページをアンテナに追加

アカデミズモは、アカデミズムの裏庭。そこには亀たちが棲んでゐます。



もともとは「京都アカデメイア」スタッフのグループブログの一つということで始めたブログですが、現在は個人的な雑記として用いています。心にうつりゆくよしなしごと等を記録することとします。

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書評『摂食障害の語り 〈回復〉の臨床社会学』
書評『勝手にふるえてろ』



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2014-06-17

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稲垣足穂少年愛の美学』全集4、pp.110-111

もともと男性にはある種のひずみが存する。彼らには、有史以来、無数の戦場に引っぱり出されてきた伝統があって、一様に、癒ゆる見込みとてない慢性マゾヒズムに罹っている。教練(ドリル)とは「錐で孔をあけること」であるが、この種の嗜虐が、世の男性には病付きになっている。(略)何か事があって双方の横づらに打撃をくらい、そのまま仰向けにひっくり返って気絶することを、彼らはいつも夢みている。あるいは、母親乃至「彼女」に叱られ続けてきた経験がつみ重って、それが性格的特徴にまで形成され、彼らは等しく女性の手によってズボンを引き下され、お尻の素肌に連続的平手打ちをこうむって、「ごめんなさい、ごめんなさい」と泣き喚く機会を待ち設けている。あらゆる男性の裡には、スパルタ乃至『葉隠』への先天的憧憬が隠れている。校歌、合宿等を皮切りに、彼らは、コムソモール、ヒットラーユーゲント、フリーメーソン的仮面団、さては私的な義兄弟誓約や血判にまで我身を縛りつけて、以て「永久に癒やされざるもの」のせめてもの代償に当てようとしている。それは「永遠の父」の恢復とでも云うべき埒のあかない大事業なのだ。(略)この男性における「引きずり出されたい」願望は、人に倚ろうと物に依ろうと、名に拠ろうと、つまりは女性が永い仕来りによって身につけている「不自由志願」と甚だよく似ている。彼らは勲章を欲し、それを胸に飾ることに似合いもする。しかし、「模範兵」とか「殊勲者」とかは本当は飽き足りないのである。むしろ「重営倉」「軍法会議」が彼らの真に望む処である。(略)西欧文明が始まってからは、男性宿命性の最高審美的モデルとしてキリストが据えられている。あのポウロの「肉体の棘」も、私にはなんだか男性マゾヒズム表象のように思われてならない。だから、心ある女性らはちゃんと知っている。男性の最大の魅力は、常に彼らの不幸の上に見出されるということを。

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