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名菓アカデミズモとかわいそうな牛 このページをアンテナに追加

アカデミズモは、アカデミズムの裏庭。そこには亀たちが棲んでゐます。



もともとは「京都アカデメイア」スタッフのグループブログの一つということで始めたブログですが、現在は個人的な雑記として用いています。心にうつりゆくよしなしごと等を記録することとします。

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2011-10-25

乳関係二件

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先だってはひさびさにけんきうかい的なものに出た。

乳房文化研究会の定例研究会「Message from 3.11 母乳でつなぐ命」。

http://www.wacoal.jp/c/nyubou-bunka/upcoming/message-from-311.html

アンケートの用紙の性別欄が、選択式でなく記入式で「おっ」とおもったんだけど、なんか考えがあってのことなのかな? あの、「男・女」にマルを付ける選択式、毎回なんかせちがらーい気分になるので嫌い。でもまあどうせ記入式でも「女」と書くので同じことなんだけど。


研究会は、震災被災地の支援がテーマだった。

講演者は三人ともお医者さんで、一人は福島のお医者さん、あとの二人は関西から被災地に行ったお医者さん。

母乳でつなぐ命」というお題だったが話の内容は(母乳話に限らず)広くて、まず、現場の具体的な話を聞けたことがよかった。やはりずっと関西におると、まだ被災地被災地なのであるということを忘れてしまいそうになるから。具体的な話とは、パンティーライナーの話や、人工肛門の話など。「男の人は想像つかんやろけど、女性の被災者はきっとナプキンとかパンティーライナーとかがなくて困ってる!」というのんはわたしもいつもおもうけど、「避難所人工肛門の人が肩身の狭い思いをしている」とかいうことには、言われんとなかなか想像が及ばない。


意外だったのは、「母乳」というテーマで当然話されるだろうと予想していた放射能の話にはあんまり触れられなかったこと。産科婦人科学会などによる「母乳育児には問題なし」という見解が示されて(「放射能よりも母乳育児できないリスクのほうが高い」みたいなこともいわれてた気がするが記憶があいまいなのでちょっと自信なし)、「被災地のお母さんたちよかったですねー」みたいに流されただけであった。実際どうなんだろう?

最後のディスカッションのシメは、「震災下で母子を守るには」について一言ずつ、であったのだが、そこでも、「お母さんというものは、放射能の心配をしていても子供の前では平気な顔をしてなくちゃならない、不安な顔を見せないことで子供は安心する、それが女の強さ、女の特権」みたいな精神論?で全員一致して終わってしまい、うーん、と思うた。

(でもこれは、それぞれ「こんなことしか言えませんが」と前置きしておられたとおり、さしあたっての実感、といった感じであった。)


あと、震災の話とは直接関係ないのだが、カルチャーショックだったのは「母乳育児>>>>>粉ミルク育児」というのが、もう前提として共有されているようであったことです。母乳育児がよしとされるのには、栄養や免疫上の理由もあるようだけど、それらの理由と同列に、当然のように「母乳育児で母子間の愛情が深まる」というのが並んでおり、たとえばわたしが比較的なじみのある社会学ぎょーかいとかなら、そうした言説を疑うという姿勢が前提的に共有されているようであるけど、医学ぎょーかいでは、むしろそれを疑わないことが前提であるらしかった(この会場を見る限りなので、医学ぎょーかい全体としてどうなのかは分かりませんが)。印象的だったのは、フロアから質問に立った産科のお医者さんが、「不幸にして粉ミルクの人」という表現をなすったこと。「ええっ」とぎょっとして聞き間違いかと思ったら、二回同じ表現を。その後、「さきほど『不幸にして』と言ったのを『都合により』に訂正します」と訂正しておられた。このとき笑いが起きてたんですが、うちはちょっと笑えずでした。



乳といえば、さいきんこれを読んだ。


映像や美術などさまざまな分野において「乳房」の表象を論じた論文集。中には、「これ乳中心にまとめるんちょっときついよね」という論文もあったけど(笑)。しめしあわせたわけでないだろうに、どの論文も、良い乳房/悪い乳房 という乳の分断を指摘しているのが興味深い。

中でわたしがもっともおもしろく読んだのは、ピンクリボンキャンペーンにおける乳房表象を論じた第二章「美の威嚇装置」。ピンクリボンキャンペーンについては、以前から、その主旨については文句ないけどと思いつつもなんかもやもやとしており、そのもやもやを見事に研究&言語化してくださったなあ!と思い、あらまほしき研究とはもやもやの言語化だった!ということも思い出した。乳よ!

じつはわたしも昔、このキャンペーンのコピーに応募したことがあって、たしか「あなたのおっぱいはあなたのもの」みたいなフレーズを考えたんだけど、通らんかったのです。まあ何のひねりのないフレーズですからな。でもそのとき、たぶん、このキャンペーンにおいて、女性の乳が子供のもの・男のもの・日本のもの・だから乳がんから乳を守れ! みたいな雰囲気で語られていることをなんとなく察知してもやもやしてたのやとおもう。





※ちなみにわたしが描いた乳がん検診ポスタです ↓

http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=10719815

※でもわたしは検診行ったことない。乳おしつぶし機がこわい。




※201702追記 この研究会のレポートを研究会のサイトに書かせていただいたもの:http://www.wacoal.jp/c/nyubou-bunka/lecture/post-4.html

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