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daisetsuの日記

2011-05-17

原発社会考―1.1秘密主義社会と判断のゆくえ

22:11

今日は作戦会議お疲れ様でした。

最近mixi原発に関する日記をつけ始めたのですが、こっちにも転載しようと思います。

第一回は、チェルノブイリ事故と現在との比較をもとにした考察です。

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チェルノブイリと現在の福島原発の事故後の状況は、非常に(全くと言っていいほど)似通っています。この類似性には注目しておきましょう。

厳密にいえば、チェルノブイリよりフクシマの方がはるかに大変な状況に陥っているのですが、原発事故のあとに人々がどういう態度をとったか、ということにフォーカスすると、どちらもほとんど同じ状況が現れていたのでした。

まず、一般の人々の態度です。

チェルノブイリ事故後、当然人々は事故の概要について無知でした。だから原発事故が起きたと言われても、「事故?それがどうしたの?」という楽観派、無関心派と、「事故?こいつはヤバい!」という恐慌派に二分されました。

これは日本も全く同じでした。事故後すぐの段階では、どちらの方が多かったかはわかりませんが、前者の方がわずかに多かったのではないでしょうか。というのも、ヤバいで!!と発言する人間は袋叩きにあったからです。デマを流すな、と。 

一方で政府は「安全です、心配するな」ということを言い続けます。これも日本もソ連も同じでした。もともとソ連には、重要災害、特に原子力災害については公表しないという慣習がありました。一応ゴルバチョフグラスノスチ情報公開)の原則にのっとって公表するのですが、ほとんどの政治局員は公表に慎重だったのです。

事故後まもなくの頃は、正確な情報がモスクワにも不足していたため、「チェルノブイリ放射能が西ヨーロッパや米国の人たちにまで影響するかのように、西側では作り話を広めている」と非難したソ連の解説者までいました。だが「作り話」ではなかった。日本でも事故後外国人が一斉に帰国した時、過剰反応じゃない??という意見が多かった。だが全く過剰ではなかったですね。彼らの方が正しかったのです。

当時のソ連の新聞記事などを見ると、政府高官と一般人のやり取りが記録されています。不安を訴える人々に、高官は絶対大丈夫、安全だ、と繰り返すのです。これもまたどこかで見たような光景です。

こうなってくると人々の間では、どちらが正しいのかわからない、という状況になります。全く政府の言うことを信用しない人が出てくる。当然ですね。だから本当のデマも出てきてしまう。実際ソ連でもあらぬデマは飛び交ったようです。

ですが私が注目するのは、その一方で、自分は冷静な判断をしたつもりで、政府のトーンに同調する人が出て来るように思えることです。それが大人の態度というように。

これは例えば、先日、福島原発で作業していた60代の作業員が亡くなったというニュースがありました。これに対し、多くの人の反応をみると、「過労だろ、60代だし」という意見が圧倒的でした。その後、心筋梗塞が死因という発表がありました。「ほらやっぱりね」という感じになりました。

本当の死因は私には分かりません。ですが、一抹の不安は感じます。なぜなら、病院それ自体と、電力会社には癒着の構造があると指摘されていたからです。以前から原発作業員に対して、体調が悪くなったらここに行け、と電力会社は病院を指定していました。被ばくによるものではない、と病院に言わせて、労災に持ち込まないためです。「御用病院」ですね。まずはそれくらい疑っていいはずです。

ですがこの時、私たちが取るべき反応は、死因が放射線被ばくか過労のようなものかということではないと思います。過労死だったらいいというわけじゃない。いかに作業が過酷であるかということ、そして作業員の健康を保証する制度が全く整っていない状況に対して、反応すべきだった。原発20キロ圏内に救急車が入れなかったため、救護が遅れた、その事実にまず目を向けるべきだった。つまり、判断や議論が少しずれた方向に引っ張られていた。やや冷静さを欠いた反応だったのではないか、と私には思えます。

そろそろまとめます。

例えば原発はなくすべきだが、電力供給が…という主張があります。それは確かにそうですが、原発を持つことの問題は、そんなレベルの話ではない。

今まで見てきたように、原発を所有している社会、それ自体が、非常に秘密主義的になるということ。原発テロリストに襲われないためなども考慮していくと、必然的に秘密主義になるのです。

そして何か起きたら一般人に本当のことは言わない。知っている一部の人間は、家族を遠くへ逃がす。自分も逃げる。つまり、情報の占有が起きる。それ自体が問題なわけです。それがあらぬ判断を招くし、うがちすぎた見方を招くし、余計に不安を募らせる。そして結果的には政府にとって、保身を図って情報を隠すことが、実は自分で自分の首を絞めていることに他ならない。不信感を増すだけなのです。

これでソ連は崩壊への道を歩みました。では日本は、これからどういう崩壊を見るのでしょうか。

あまりにも似通ったソ連と日本の状況。チェルノブイリの状況を参考にすることで、日本の現状とこれからが見えてくるような気がします。

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最後まで読んでいただきありがとうございました。

次回は「1.2怒れる神、スケープゴート」の予定です。